簡易水冷キットを無理やりスリムケースのメインPCに導入してみた。
SilverStone TD02-SLIM-V2について
240mmのラジエーターを持つオールインワン水冷キット(簡易水冷)だ。
22mmのラジエーターと15mmのファンで37mm。一般的な簡易水冷だとラジエーター27mm+ファン25mmで52mmもあるので相当薄いことがわかる。
検索してもレビュー記事が全く出てこないし、発売からしばらく経っているので販売しているサイトが少ない。
ちなみにTD03-SLIMという同じ厚さで120mmラジエーターの製品もある。ML07のページのおすすめ商品に含まれていたが、数年前に廃盤になっているため新品の入手は困難だ。
メインPCの現状
スリムタワーなのでどこにでも持ち出せるのが魅力。ザ・ノース・フェイスのヒューズボックスのような大きめのリュックサックに余裕で入る。持ち出す機会なんてほぼ無い*1けれど。
- ケース : SilverStone SST-ML07B
- MB : ASRock Z390M-ITX/ac
- CPU : Intel Core i7-8700K (5GHz OC)
- RAM : TEAM Elite Plus DDR4-2666 32GB*2
- VGA : Palit GeForce GTX 1060 JetStream
- SSD 1st : Intel 660p NVMe 1TB
- SSD 2nd : Crucial MX500 SATA 2.5inch 500GB
- ODD : Panasonic UJ265 BD-RE
- CPUクーラー : Noctua NH-L12S
- PSU : 玄人志向 KRPW-SXP600W/90+
ちなみにCPUクーラーは何度か変更しており、最初はサイズのSCBSK-3000を使っていた。値段を考えれば非常に良くできている製品なのだが、OCを施したi7-8700Kを冷やすには力不足だ。
ファンを山洋電気のF12-PWMに換装して使っていたが、流石に動作音がうるさすぎるためNH-L12Sに乗り換えた。さすがのNoctuaでも、OC下での連続高負荷でサーマルスロットリングが介入してしまうのは避けられないが、音は少し静かになった。
スモールフォームファクターはつらい
グラボが入らなかったのでノコギリで切断したり、ケースに穴を開けて10GbEのNICをつけて無線LANカード用のM.2スロットに繋いだりした。
他にも電源ユニットの静音化のためにファングリルをニッパーで切断したり、それでも効果が感じられず、無理やり120mmファンに換装するなど、多数の後戻りのできない改造を施している。
今回の水冷クーラーの導入も当然一筋縄ではいかないわけだが……
やっていく
その前に
家の外に持っていてマキタブロワでホコリを飛ばす。ファンが風を受けて回ってしまわないよう*2に割り箸などを差し込んで固定したほうがいいかも。
電源ユニットとサイドパネルを魔改造
まず、ラジエーターが入るように電源ユニットを切断してクリアランスを確保する。「裸で置いとけばケース内のエアフローで冷えるでしょ」という意味もある。なお、動作中に触ると普通に感電する。
元々あった電源ユニットマウンタは使えないので、ケースの外側からネジで固定。
サイドパネルには120mmファン用の穴が開いているが、今回導入するのは240mmのラジエーターなので穴を増やす。
グリルが無いのでゴミが入り放題。それにこのままだと物をぶつけただけでラジエーターのフィンが破損してしまうので後で何か付けるつもり。
蓋閉まるの?これ
ゴムチューブが案外柔らかいのでなんとかなった。
結果
i7-8700Kを5.2GHzにOCしてベンチマークテストを実行した。温度は91℃くらいで、それ以上上がることもなく終了。
普段使いの実用重視のOCプロファイルならCPU温度は80℃程度に収まる。ファンの回転数を抑えているので静か。
比較用に以前の結果を残しておくのを忘れたが、効果は絶大。まずサーマルスロットリングと無縁になった。そして高負荷時はNH-L12Sよりも静か。
エアフローをよくすればもっと冷えると思うので、次はケースファンを増やしてみようと思う。
追記2021年8月19日 壊れてるっぽい?
2週間くらい前からだろうか。ほぼアイドル状態といった負荷でもファンが高回転になり、60W程度のパワーですら温度が80℃を超えるようになってきた。フルロードではすぐに100℃に到達し、サーマルスロットリングがかかってしまう。
何かがおかしい。試しにポンプの電源を切ってみると僅かながら性能が劣化することがわかったので、水は流れている。ポンプの回転数?も正常値だ。念の為、サーマルグリスも塗り直したが効果なし。
ネットで少し調べてみると「叩くと直る」場合があるそうなので試してみた。ラジエーターを叩くも効果なし。
ウォーターブロックを外してゴムハンマーで4方向からやや強めに叩いて付け直して起動してみた。久々にポンプ始動時の「エアが噛んでるっぽい音」を聴いた。そういや最近静かだったな。
冷却性能は元通りとまでは行かないが、最高90℃ほどで収まるように。一応まともに使えるようになった。
原因ははっきりとはわからないが、今回使用したTD02-Slim-V2はデッドストック品のため、内部の素材が劣化して剥がれ落ち、経路に蓄積して目詰まりを起こしていたのでは無いかと考えている。もし、そうだとしたら、これからも定期的に外してハンマーで叩く必要があるかもしれない。
簡易水冷はなるべく現行品の新品を使おう