TEX Shinobiはトラックポイントが付いたメカニカルキーボードで、7列配列や青いEnterキーなど随所に「IBM時代のThinkPad」への熱いリスペクトが見られる少々マニアックな製品である。
筆者はTEX Shinobiの哲学、機能性に惚れ、使い慣れたALL45gのRealforce 108Uから乗り換えるほど心打たれたのだ。
マウスの記事を書いていたらキーボードの記事も書きたくなったので、去年の9月から愛用しているTEX Shinobiの魅力をお伝えしよう。
どんなキーボード?
写真はThinkPad X1 Extremeに載せたところ。
外観
IBM時代のThinkPadリスペクトな古臭い見た目。トラックポイントボタンに赤と青のアクセントがあれば完璧だった。
裏はこんな感じ。かなりしっかりしたチルトスタンドが付いている。
パームレスト分奥行きがあるのでちょっとデカい。そしてずっしり重い(1.2kg)。
一時期、フルキーのRealforceをバイト先で使うために持ち歩いていたことがあるのだが、それよりは持ち歩きやすいと思う。ケーブル着脱式で14インチのノートパソコン用のかばんに入るので。
トラックポイント
ThinkPadでもおなじみの赤ポチ。この赤ポチ1つで1万円以上の価値があると言うのは少し言い過ぎだろうか。
長時間使っていても特有のドリフト現象(触っていないのにカーソルが動き続けること)が起きないし、スクロールの挙動もまとも。しかも中クリックができる。感度の良さと自然な加速のおかげでデュアルディスプレイ環境でも快適に操作できる。Fn+1-6で感度調整ができるのも便利。
本家ThinkPadより圧倒的に使いやすい。特に「動作が不安定でアプリによっては正しくスクロールできない専用のドライバ」が無いのが素晴らしい。水平スクロールも問題ない。
ちなみにトラックポイントキャップは本家ThinkPadのロープロファイルキャップが使える。
フルNKRO
USB接続ながら6個を超える同時押しに対応している。SideWinder X4のような力技ではなく普通に対応している。
入力の遅延も少ないのでゲームに使うのも悪くない。
左下のFnについて
ノートパソコンを選ぶ際に「左下にFnがあるのがイヤ」という理由でThinkPadやLet'snoteを諦める人が稀に居る。BIOS設定でFnとCtrlを入れ替えることができるのは意外と知られていないらしい。
本機はDIPスイッチ1つで入れ替えることができるほか、入れ替えた時用のキートップも付属している。入れ替えると左Ctrlがちっちゃくなってしまうのでオススメはしない。
macOS向けに⌘と⌥も付いてくる。個人的にはCapsLkの位置に付けるCtrlがあれば完璧だった。
購入方法
2021年5月現在、TEX公式(個人輸入)から買えるほか、センチュリーダイレクトから買う方法もある。
TEX公式
筆者はTEXから直接購入した。去年の6月末に注文し、届いたのが9月の中旬くらいだった。注文時期によって前後すると思われる。TEXから買う場合は配列やキースイッチを自由に選べる。
値段が少しだけ安い自分でキースイッチをはんだ付けして組み立てるDIYバージョンもある。PCB TypeにHot-Swap*1があるが選ぶことができなかった。
追記 2021年5月27日15時
Hot-Swapバージョンは6月から受付開始の模様。2台目として欲しい……。
TEX Shinobi New Project - hot swap version . #tex #trackpoint #hotswap #shinobi pic.twitter.com/mKpicoypJ7
— TEX (@TEXkeyboard) 2021年3月11日
300ドル以上で送料が10ドルになるので友人の分を一緒に買うのがオススメ。また、送料とは別に関税が3000円ほどかかる。
センチュリーダイレクト
日本語配列の茶軸とピンク軸のみだが国内通販のセンチュリーダイレクトから買うことができる。
送料無料で値段も安い。すぐ手に入れたいならオススメ。欲しい仕様のものが売っていればだけど。
パソコンショップDO-MUで扱ってくれないかな~。
最後に
トラックポイントという他にない付加価値ももちろん良いのだが、フルプログラマブルやケーブル着脱式といったハッカーフレンドリーな仕様も嬉しい。
高級キーボードとしては普通くらいの価格設定でありながら細かい部分にまで気を配っている印象で大変満足。入手難度が若干高いのが玉に瑕。
トラックポイント好きなら買って損はないはずだ。
*1:基板にソケットを実装し、キースイッチを自由に差し替えられるようにするものと思われる。