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NANOTE P8にUSBメモリを内蔵させる

ストレージの余裕は心の余裕。

NANOTE P8のeMMCは高速ではあるが容量は64GBと少なめ。録画したテレビ番組を持ち出したり美少女ゲームを入れたりしたら一瞬で埋まってしまう。

ストレージの少なさを補う方法はいくつかある。

microSDカードを使うのが最も一般的で簡単な方法だ。しかし本機のmicroSDは速度が20MB/sほどでとても遅い。

筆者のNANOTE P8にはもはや定番の改造と化したM.2スロット増設が施されている。ここにM.2 2242のSSDを挿せばeMMCより高速なストレージを手に入れられるのだが、SSDを買うのが億劫なのでやっていない。

というわけで、今回は安価にストレージを増やすためにUSBメモリを内蔵させることにした。

用意するもの

  • USBメモリ
  • USBハブ
  • ハンダゴテとか工具
  • 適当な線材

USBメモリじゃないじゃん

今回はUSBメモリではなく、ファーウェイの128GBのNMカードをmicroSDカードリーダーに結線したものを使用した。安いからと言って対応機器も無いのにNMカードを購入し、余していたものを有効活用しようと思う。

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NMカードは形状こそSIMカード風だが、電気的な仕様やコマンドなどはMMCそのものなので一般的なSDカードリーダーで使うことができる。

ピンアサインはこちらのサイトを参考にした。

www.embedded-os.de

もちろん、通常のUSBメモリを分解して使う方がずっと楽だ。

ダイソーのスイッチ付きUSBハブ

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これのためにダイソーを何店舗か回った。結局、スーパーに入ってる小さい店舗で見つけた。

Type-Cで接続するUSB2.0ハブで、個別スイッチでデバイスの電源供給を止められるというもの。220円でUSBハブLSIとスイッチとUSBコネクタが手に入るのでお得。

このハブの肝であるHS8836Aというチップはほとんど周辺部品なしで4ポートのUSBハブを作ることができるもので、今回の工作にピッタリだ。格安USBハブでよく使われているものらしい。

やっていく

ボードトリミング

必要最低限の部品だけ残して基板を小さくする。カッターで切り目をいれてペンチやニッパーで豪快にパキパキ折っていこう。

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余裕で入る大きさになった。

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ピンアサインはこんな感じ。左側がデバイスのデータ線、右側が電源とホストのデータ線といった具合になっていてわかりやすい。

早い話、左側にデバイスと繋がるD-とD+があって、あとはGNDとV5とホスト側のD-D+だけ気にしておけばいい。9番は100kΩの抵抗でGNDに落としているが無くても動く。おそらく14と12は内部レギュレーターの接続なのでICを基板から剥がすなら結線が必要。

カメラの信号線にUSBハブを挟む

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ケーブルの左側4つがUSB(他はタッチパネル用)になっているので切断してハブの基板を間に挟む。

(茶)VBUS (黄)D- (緑)D+ (水)GND

と並んでいる。

結線したらとりあえず電源を入れてハブとカメラが認識しているか確認。ショートしてしまわないように基板をテープでくるんでおこう。

使っているうちに「USBハブがコケたとき、分解するかバッテリー切れを待つかしないと復活しない」という問題がわかったため、後でハブへの電源供給を止めるスイッチを付けた。どうやら電源OFFやスリープでも常に5Vが供給され続けるようだ。ひょっとしたらスリープ時の電池持ちにも貢献するかもしれない。

USBメモリをつける

USBメモリを分解して中身の基板をさきほどのハブ基板に結線。よさげな場所に置いとく。

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起動してUSB Device Tree Viewerで確認。USBハブにカメラとUSBメモリがぶら下がっていれば成功。

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使用感をチェック

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microSDにインストールしていたLinux環境を今回増設したUSBメモリに移した。microSDよりは起動が速い。電源を入れてGRUBのメニューが出るまでの時間も短くなった。

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USB2.0の限界近くまではいかないがそこそこ速い。microSDの1.7倍ほど。シーケンシャルだけ見れば10年前のノートPCのHDD程度の速度だが、ランダムアクセスは段違いに速いので十分実用的だ。

感想

くそ面倒な割にそこまで嬉しくない。M.2 SSD付けたほうが楽だし桁違いに高速。安く作ることと余ってる部品を活かすことが主目的だったのでまあいいか。

ゲームをいくつかインストールして遊んでみたが、無線LANやCPUの方がずっと遅いのでUSBメモリの速度がボトルネックになることは無かった。

ハブのポートはまだ2つあるしスペースにも余裕があるので次はテレビチューナー内蔵か11ac無線LANあたりを試そうかな。